
世界最大級の地下河川。首都圏外郭放水路は江戸川と中川、大落古利根川にはさまれた低平地エリアの洪水を防ぐ地下調圧水槽。
「地下神殿」の異名を持ち、映画やドラマのロケ地としても有名なこの施設のスケール感は凄まじい。
地下トンネルから流れてきた水の勢いを弱め、スムーズに江戸川へ水を流すための調圧水槽は、横幅78メートル、長さ177メートルというサッカーグランドほどの広さがあり、500トンもの重量がある18メートルの柱が59本も立ち並ぶ異様な雰囲気を放つ。

そして、水を一時的に貯水する立坑は第一立坑から第五立坑まで5本あり、巨大な筒状の形をした各立坑のサイズは直径約30メートル、深さ70メートルと、その大きさと深さは地球の真ん中まで続いていて、何もかもをそこに飲み込んでしまうのではないかと思えるほどだ。

この日は、ちょうどこの第一立坑のフタ部分でスケートボードを楽しむ少年がいたため、その音が内部に響き渡り奥の方から何かが壁を壊し出てくるのではないかと思えるような、本当に不気味な気配を漂わせていた。

2006年の完成から(一部施設は2002年から稼働)11年。
すでに100回以上この施設は稼働しているらしく、総工費約2,000億円の意味は十分果たしているようだ。